第1話 「風の向くまま」

男が目覚めた場所は、グレート・デザートというらしい。ええ。砂漠です。

そして男は、「タンポポ」という名を持っている。
まぁなんつーかアレだ。これからタンポポらしい1歩を踏み出すところだ。
風の吹くまま、流されるまま。
踏み散らかされようが、引っこ抜かれようが、草食動物に食われようが・・・
野に咲く花らしく、逞しく生き抜いてみせるんじゃ!!
(あ、なんか、この世界にすごくフィットしてない・・・?)

まずは、この砂漠を出よう。
いまの能力で砂漠を生き抜くとか始めたら、3話くらいで終わってしまうかもしれんしな。

そしてあるていどのカネを稼いだら、左腕をどうにかしよう。(なんかどっかで義手とか売ってるらしいし)
それか、生き別れになったかもしれない、左腕のヒダリ―を探してみてもいい・・・
(スマン、ヒダリ―はたぶんイナイ・・・)

 ミギーのネタが分からない人はコチラ

さて、
何も持っていないと思っていたが、Mキー押すと地図が出せる
(Mキーについての突っ込みは無視だ。あくまで転生者なんだおれは!!!)

周囲に大きな町が3つ。
だが下手に近づくと奴隷にされそうなので、町には立ち寄らずに砂漠を脱出したい。

いま早急に解決しなくはならない問題は食糧だ。
最後にどんな食事をしたのか知らんが、今は腹3分目くらいの状態なので、空腹は空腹だが、末期的に飢えているというわけでもない。
しかし持って1日くらいな気がするし、 走れるうちに次の食事を得るためにも、とにかくこの砂漠を出るのが先決だと思う。「走る」というのは、たぶんこの男の現時点で唯一にしてもっとも価値のあるスキルだな。(走れなくなるまでに食糧が確保できなかったら最終回になってしまって、次の物語が始まると思います。)

地図を見ると、北と東が海、西は山かなにかだろうか。
南はよくわからないが、砂漠を抜けることを優先にしたとすると南が最も遠い。
東の海は、わりと近そうだが、その南北が海外線に沿って砂漠になっている。
もし、海にでて何も食糧が無ければそこまで。

ということで、選択肢は、西側の山か、北側の海。
海が見たいけど、食糧得るとしたら山かも。でもおれは海が好きだ、海が見たい。
釣りとかサーフィンとかできるかな

ということで、あいだをとって北西を目指すことにした。
北西はまぁ、個人的にもいろいろと縁のある方角だ!
縁については、それだけで数百ページの物語になる可能性があるので割愛だ!

いよいよ一歩を踏み出すぜ。
(まだそこにいたのかよ)
待ちに待ったkenshi 1.0の本当の旅がいま始まるぜ・・・

北西はどっちだ、明日はどっちだ!!

って、

uahhhhhh

ぅおおおおおお
なんじゃぁぁぁあああああ

なんかへんなのが追ってくる~ぅぅぅううう

なんかしらんが、へんな生き物が、追いかけてくるので方角はあとまわしで逃げるぅぅ!!

つかぁ!こいつ、おれよりアシ(運動Lv1)はえぇぇぇえええ!!
なんかジリジリ距離つめてくるよ、やべぇよ
早くも最終回かよ!!ウソだろおぃ!!!

あぁでもそういえば・・・
最初の説明にも、「good luck」とか書いてあったし・・・たぶん「どん底」スタートの序盤は、幸運が無いと乗り切れないってことなんだろうなぁ
にもかかわらず、一時停止もしないで、メモ帳開いてカチカチ文章打ってる余裕なんてなかったんや・・・、もっとも大事にしなきゃならない幸運っていうゲージを早々に底まで消費してしもうたんやな・・・
アホや、第1章1話で終了や。明日から、男1人1匹ではじめるしかないんかもう・・・

テテテテテテッ

-と、思ったら、へんな生き物、追跡やめる。
疲れたのか、飽きたのか・・・

とにかく、ラッキー!!
やっぱ、最後まであきらめちゃいけねーぜ!!
こんなゲーム世界でも為せば成るんだぜ!!
今のうちに、とっとと距離をとって、隠れることにした。
隠れるつっても、何もないところで、ちょっとしゃがむだけなんだケド・・・

あぶねー

そいつとだいぶ距離をとると、今度ははるか先に、何人かのチームが歩いてるのが見える。
クリックすると、「反乱農民」だそうだ。

ぷりケツ

またあんな化け物に襲われて(しかもおれより足が早い)食われたら、本当に最終回になってしまう。
カッコつけて、方角とかどうでもいいから、とりあえずあの農民集団に紛れて行くことにした。
もしかしたら食いものとかも手に入るかもしれないし・・・

でも、あからさまな追跡は、なんか怖いので、隠れてコソコソと後をつけることにした。
もし、さっきの化け物に襲われたら、ダッシュであいつらになすりつければよいのだ。
そうなのだ。俺が死ななければそれで良いのだ。
いまはこの「どん底」から這い上がることが最優先なのだ。
タンポポは、英雄でも勇者でも無いし、農民以下の平民以下。、
タンポポは、この世界で最も弱い社会性生物だよ
おなじALL1のやつとタイマンはったとしても腕が1本ないぶんこっちの完敗。
まぁ、たぶん一番弱い家畜(子ヤギとか)にも余裕で負けるよな。

つーわけで、そんな奴が這い上がるためにはとりあえず、
自分より少しでもマシな奴を踏み台にするか犠牲にするか盗むか不意打ちするかして、少しづつのし上っていくしかない。
だから今は、7~8人で歩いてるアウトロー農民のあとをコソコソつけていくしかねぇんだ。
風の向くまま・・・、彼らは風、、あの風に乗ってタンポポは飛んでいくんだ。
風がやんだらまた別の風を捕まえればいい。
つか、あいつらがどうなろうが知ったこっちゃねぇし、なにかおきたらおれぁ真っ先に逃げるし、隠れて眺めてるうちに、あいつらが全滅したら、遺品は全部わしがいただくぜ?

ってブツブツいいながらコソコソ歩いていたら、また別の集団が遠くに見える。

「人狩り」

う、うん。どう考えてもタンポポみたいなのが近づいたらいけない人たちデスよねアレ・・・。

だがあいつら、反乱農民よりも強そうなので、寄生先をコッチに変更した。(ああぁ・・・おれを捨てて出て行ったヒダリーの気持ちがいま分かったよ・・・)
見つかったら狩られるんじゃあるまいかと思ったけど、砂嵐も手伝ってか、それなりに距離をとっていれば見つかることもなさそうだった。
先述の反乱農民の何時間かの追跡で、
「隠れる」という技術を、少なからずタンポポにもたらしている。
走る以外の初のスキルだ!<隠れる(つってもまだ3とかだが・・・)

ところがこの「人狩り」
近寄りたくないと思っていた町に向かっているらしい。
町にいけば、食糧にありつけるかもしれないが、狩られるのも奴隷にされるのも嫌だったので、途中で切り上げることにした。
夜になったら、町に潜入してみるのもありかもしれないが、おっと、近所にまた別の集団を発見。

コソコソ・・・

「トレーダーキャラバン」
まともそうな人たち!!
いままでの、反乱農民とか人狩りとかの暴力的な集団とは全く異なる平和的な名称!
しかも、あの町には向かわないらしい。

ということで、町を後目に、こんどはそのトレーダーキャラバンに近づく。
別に隠れる必要も無さげだが、全裸で砂漠をオラついて歩けるほど自信のある(以下自粛)
やはり隠れてついていくことにした。
にしても、キャラバンガード、むっちゃ強そうやん。
まぁー金庫とか倉庫を持ち歩いて、シリアの紛争地域で行商やってるようなもんだしなぁ。
それなりの猛者を連れてあるかないと、行商なんてやってられないんだろね。

で、それからずっと彼らの尾行を続けて夕方。
結構なレベルの空腹感。まだまだ大丈夫だと思うけど、いまだに食糧を得られそうな気がしないと思った矢先。

ゴクリ・・・・

ええ、そうなんです。あの化け物が来たんです。
タンポポの、「隠れる」状態もあったためか、化け物はまっすぐ商隊に襲い掛かりました。
しかしだ。
キャラバンガード達があっというまに、あの化け物をボコボコにしてしまったんです。
んで、何事も無かったかのように、隊列を戻し先を急ぐトレーダーたち。

私は、少し間をおいて、ボコられた化け物に近づく。
化け物は死んでおらず、気絶してるだけのようでした。

こ・・・これはまさか・・・

喰える・・・・・? のか・・・?

化け物を掻っ捌くと、いくつかの角と生肉が!!
私は、それを抱えて、一目散に、行商のところに向かった!!!

「ここぉ、こぉ、くぉれ、買ってくれぇぇぇええあああ」

たぶん取り乱していたと思う。
おまけに、全裸やし、なんももってないし、食ってないからガリガリやし・・・

でも、キャラバンガードが刀を抜く必要があるときは、その部外者が脅威になるかどうかであって、
脅威じゃなければ、お尋ねものだろうが、変態だろうが全裸だろうが、全く問題は無いようだった。

だが、このトレーダーは!!!!!

「すまん、金もってない」

は?

「なんか買ってくれたら、その代金でそれ買ってやるで?ん?」

トレーダーが無一文って、どうなのよ!!!!バグだろそれ!!

しかたなく、何か買おうとしてみたかったけど、おれも無一文だった。
せめて物々交換くらいさせてくれよ・・・

ああ、あのバックの中になにやらうまそうなものが色々入ってるみたいなのに・・・っくぅ~~~

とりあえず。
焚火は、タダで起こせるみたいなので、焚火を起こして、いま手に入れた生肉を焼いて食うことにした。
生肉は二つ。
今夜の分と、明日の朝食くらいにはなりそう。
あと、黄色いまずそうな肉も一応持っていく。
死ぬくらいならこれも食った方がマシだろう、たぶん。
(いや食えないかもこれ?)

とにかく―

餓死までの猶予をだいぶ伸ばすことができた、最初の1日でした。
ありがとう、キャラバンガード!

tanpopo

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Sorry, Japanese only